はじめに
我が国では、少子高齢化、人口減少、郊外化の進展により
インフラを維持・管理するコストが増大しています。
そこで国土交通省では、都市が集約するように都市機能・居住を誘導し、
効果的・効率的な居住環境を目指す「コンパクト・プラス・ネットワーク」を
推進しています。
その課題として、市街地で低未利用地が不規則に発生し、
都市が低密となる「都市のスポンジ化」が懸念されています。
そこで中長期における都市のモニタリングが必要だと考えられます。
しかし、人口分布の空間的な広がりに関する研究は未発展の状態であります。
本研究室では、空間的自己相関分析を応用して市街地における人口の低密な範囲を
判断・可視化し、把握する手法を開発してきました。しかし、我が国では
人口減少と世帯数増加が並行しているため、両者を合わせてみていく方法を検証していきます。
研究手法について
本研究室では、空間的自己相関分析を応用して局所人口と世帯数分布の低密な範囲を把握しています。
空間的自己相関分析とは、G統計量に含まれるある範囲内における局所的な相関を見るものです。
これを人口と世帯数に適用させています。
- 対象領域を正方形メッシュで区切り、その範囲内の人口と世帯数をそれぞれ合計します。
- 算出したデータの各メッシュの中心から空間的自己相関分析を実施しました。
- 「空間的自己相関あり」と判定される範囲を算出し、図-1のように円形で示します。
- 相関ありと判定された範囲から調査範囲を段階的に縮小させていき、「空間的自己相関なし」と判定されるまで繰り返します。
査読
Kiichiro Kumagai, Shintaro Tsukamoto, Haruka Tokoi, and Miyuki Wada: Spatial variation analysis of local population data and local household-size data for urban management in a declining population, ISPRS Annals of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences, Vol.V-4-2022, pp.283-291, https://doi.org/10.5194/isprs-annals-V-4-2022-283-2022, 2022.
つづく